「整理整頓」はなぜ重要なのか?

●本記事の要約

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整理・整頓とは「必要なモノだけを選んで、それ以外を取り除いておき、必要なモノをいつでも扱いやすい状態にしておくこと」で、「①ムダな時間の削減」「②ミスやケガの防止」「③判断力アップ」の三つの効果がある。


そして、整理ができていなくても、最低限「整頓」ができていれば、生産性・効率性がアップする。

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目次

- はじめに:子供の頃よく言われた「片づけなさい」

- そもそも「整理」や「整頓」って何?

- 整理整頓のメリット

- より重要なのは「整頓」ができていること

- 最後に



■はじめに:子供の頃よく言われた「片づけなさい」

「子供の頃お母さん(あるいはお父さん)によく言われた言葉は?」と聞かれた時、皆さんは何を思い浮かべますか?


その中でも、特に身に覚えがあるのが「片づけなさい」ではないでしょうか。


おもちゃで遊んだ後、クレヨンや色鉛筆でお絵描きをした後、宿題をやった後など…


そして、大人になって社会人となり仕事をしている今でも、データや紙の資料をよく整理整頓しなさいと上司に教えられている方も少なくないと思います。


私たち建設業の世界でも、「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」といって、現場での整理整頓が推奨されています。道具や工具、パイプ材料など多種多様なものを扱うことの多い業界のため、より一層その重要性が叫ばれています。


このように子供~大人まで、ずっと「整理整頓しなさい」と言われるのは、とても意味のあることだからにほかならないのですが、今回の記事ではそもそも何で大切なのか改めて考えていきたいと思います!



■そもそも「整理」や「整頓」って何?

まず整理・整頓の重要性を考えていく前に、普段なんとなく使っている「整理」や「整頓」という言葉の理解を深めていきたいと思います。


厚生労働省「職場のあんぜんサイト」によると、現場での活用に則して次のような説明がされています。

(参考URL:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo61_1.html

つまり、整理とは「必要なものだけを選んで、それ以外を取り除くこと」で、整頓とは「必要なものをいつでも使え、取り出しやすい状態にしておくこと」と定義でき、


逆に、整理・整頓ができていない状態とは「必要なモノと不要なモノが混ざっていて、必要なモノを瞬時に取り出して使うことが容易でない状態」のことと言えます。



■整理整頓のメリット

さて、ここから本題です。

「整理整頓」が大切と言われるのは、それだけメリットがあるためです。


具体的には次の3つです。

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①ムダな時間の削減

②ミスやケガの防止

③判断力アップ

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①ムダな時間の削減

皆さんは、どれくらいの時間を探し物に費やしているかを考えてみたことはありますでしょうか?


例えば、


もしも一日当たり5分探し物の時間があった場合、一週間(平日のみ)で25分、一年間で21.725時間、人生80年として計算すると1738時間(72日分)を探し物に費やしている計算となります。


こうして「探し物をしないといけない状況」を作り出している原因として考えられるのは、この2つです。


1. モノが多く、散乱している

2. モノは少ないが、何がどこにあるかわかっていない


つまり、もし「整理」によって必要なものだけを選び、「整頓」によって物の場所を把握・すぐ取り出せる状態にしていたならば、この72日分の時間を浪費せずに済み、それだけ効率的に作業ができていたということになります。


この72日間で、別の工事をこなしたり、新しく資格を取ったりという時間に使えたと考えると、「ムダな時間を減らす」ことはかなりの効果が期待できそうです。



②ミスやケガを減らす

次に、整理・整頓ができていないとミスやケガをしてしまう場合があります。


例えば、現場にモノが散乱している場合、道工具につまづいて転倒してしまう危険があります。


また、必要なモノと不要なモノが入り混じった中から探し物をして余計な労力を使うことで、集中力や注意力が削がれ、ミスを誘発する可能性があります。


よって、これらを避けるためには、やはりルールを決めてモノを「整理→整頓」しておくことが必要です。最初は面倒臭く感じられるかもしれませんが、一度片づけをして仕事に臨むと、その効果を実感できると思います。



③判断力が養われる

「①ムダな時間を減らす」「②ミスやケガを減らす」の2つは、問題への対処としての整理・整頓でしたが、スキルアップの観点でも効果を発揮します。


冒頭で整理とは「必要なものと不要なものを区分し、不要、不急なものを取り除くこと。」と定義しました。


ここにある「必要なものと不要なものを区分する」プロセスがとても重要で、工種に応じて必要なモノと不要なモノの判断を繰り返し行う中で、徐々に判断力が養われていきます。


それだけ判断力が鍛えられれば、もしチームリーダーになったときに、メンバーに適切な指示ができるようになるので、機会を見つけたらぜひトレーニングをしてみるとよいかもしれません。



■より重要なのは「整頓」ができていること

ここまでで、「整理・整頓」とは「必要なモノだけを選んで、それ以外を取り除いておき、必要なモノをいつでも扱いやすい状態にしておくこと」で、「①ムダな時間の削減」「②ミスやケガの防止」「③判断力アップ」の3つの効果があると述べてきました。


どちらも欠かせない「整理・整頓」ですが、より重要なのは「整頓」ができていることです。

例えば、もし「整理(必要なモノと不要なモノを分け取り除くこと)」ができていなくても、「整頓(必要なモノをいつでも取り出し扱える状態にすること)」ができていれば、探し物をしたとしても比較的短時間で済むためです。


逆に、「整理」ができていたとしても「整頓」ができていなければ、何がどこにあるか分からず長時間の探し物を強いられる可能性がおおいにあります。


よって、より「整頓」を意識することが重要と言えます。



■最後に


ここまで記事をご覧いただきありがとうございます。

本記事が、整理や整頓がなぜ重要なのかを理解する助けになれば幸いです。


それでは今日も一日ご安全に!